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いず型巡視船 (初代)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
いず型巡視船
基本情報
艦種 2,000トン型PL
運用者  海上保安庁
就役期間 1967年 - 1998年
次級 そうや (PLH)
みうら (3,000トン型)
要目
常備排水量 2,081トン
総トン数 1,793トン
全長 95.5メートル (313 ft)
垂線間長 86.45メートル (283.6 ft)
最大幅 11.6メートル (38 ft)
深さ 6.8メートル (22 ft)
吃水 3.8メートル (12 ft)
機関方式 CODOD方式
主機 ディーゼルエンジン×4基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
速力 24.6ノット
航続距離 14,500海里 (12.7kt巡航時)
乗員 72名
兵装 40mm単装機銃×1門 (後日装備)
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いず型巡視船(いずがたじゅんしせん、英語: Izu-class patrol vessels)は、海上保安庁が運用していた巡視船の船級。

来歴

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1965年台風第29号の急転および急激な発達によって、アグリハン島付近で台風避泊を行っていた日本の遠洋カツオ・マグロ漁船団のうち、6隻が沈没、1隻が座礁大破し、死亡及び行方不明者209人を出すというマリアナ海域漁船集団遭難事件が発生した。これは台風の強さ・針路が天気予報と大きく異なったことが原因であると考えられた[1]。これを契機に、南洋で巡航しながらの気象観測・救難任務を目的として建造されたのが本型であり、昭和4142年度計画で各1隻が建造された[2]

設計

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船型は船首楼型とされているが、船首楼は全長のほぼ3分の1におよぶ長さであった。船体は鋼製で、耐氷構造とされていた。また復原性向上のため、船体内外に1組ずつフリューム式の減揺水槽を備えていた[2][3]

主機関は、低出力の巡航機(計1,600馬力)と大出力の高速機(計10,400馬力)という2種類のディーゼルエンジンを切り替えて使用するCODOD方式が採用された[2]。このうち、高速機についてはSEMT ピルスティク系の12PC2V中速ディーゼルエンジンともされている。高速機では24.6ノット、巡航機では14.5ノットを発揮でき、また巡航機のみを使用した場合は14,500海里という長大な航続距離を誇った[3]

上記の経緯から、竣工時は後部上部構造物に気象レーダーを備えていた。その巨大なレドームは外見上の大きな特徴となったが、昭和53年度に撤去された。一方、当初は非武装であったが、新海洋秩序時代の到来にあわせて、昭和52年度に40mm単装機銃を搭載した。また船隊指揮船としての運用も考慮されたことから、船橋構造物内には巡視船初のOIC室が設けられていた[2]

同型船

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一覧表

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船番 船名 造船所 進水 就役/配属替え 配属部署・管区 解役 備考
PL31 いず 日立造船向島工場 1967年1月 1967年7月31日 横浜
(第三管区)
1997年8月14日 1978年(昭和53年)5月~1981年(昭和56年)の間、海上保安学校における総合乗船実習(約1週間連続航海実習)時に同校に派遣され、実習船として使用された[注 1]
PL32 みうら 日立造船舞鶴工場 1968年11月 1969年3月15日 1998年9月21日
1993年3月25日 舞鶴
(第八管区)
1993年(平成5年)4月~1998年(平成10年)9月21日まで舞鶴保安部から海上保安学校に通年派遣され、前船「いさづ」の練習船業務を引き継いだ。
1998年(平成10年)「みうら」の就役に伴い解役。

運用史

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本型は、ヘリコプター搭載大型巡視船(PLH)が登場するまでの約10年間、海上保安庁最大の新造巡視船として活躍した[4]。また「みうら」は、1993年から解役までの間、海上保安学校練習船を兼務しており、これは同船を襲名した3,000トン型巡視船によって引き継がれた[2]

脚注

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注釈

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  1. ^ これ以前は「宗谷」が派遣されていたが、同船の解役に伴い、「いず」「みうら」によって引き継がれた。1982年(昭和57年)「いさづ」就役とともに、同船に任務を引き継いだ。

出典

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  1. ^ 海難審判所. “マリアナ海域漁船集団遭難事件”. 2015年4月7日閲覧。
  2. ^ a b c d e 海人社 2003.
  3. ^ a b Prezelin 1990, pp. 326–327.
  4. ^ 真山 1998.

参考文献

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  • 海人社 編「海上保安庁全船艇史」『世界の艦船』第613号、海人社、1-216頁、2003年7月。 NAID 40005855317 
  • 真山良文「海上保安庁船艇史」『世界の艦船』第538号、海人社、90-99頁、1998年5月。NDLJP:3292322 
  • Prezelin, Bernard (1990), The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991, Naval Institute Press, ISBN 978-0870212505